2019年後半以降の百瀬、安井、降幡製作のカスタムショップモデルにはトラスロッドアジャストの両側にカーボンのサポートを埋め込んであります。
ヘッドウェイギターのネックには棒鉄芯をが埋められていますが、その両側に6.5mmx3mm程度の幅と高さを持つカーボン製バーが2本入ります。
通常アコースティックギターのネックは弦を外したときに逆反り方向に動きます。そして数十キロに及ぶレギュラーチューニングの弦の張力との均衡があり、ネックは真っ直ぐバランスを保っています。
弦を弾いたときに弦が振動すると、それにあわせてネックも動きます。このとき、ネックが柔らかいほど弦の振動に共振し、弦振動の減衰が早くなりサスティンが落ちます。
仮に鉄の様に硬いものでネックを作ったとしたら、弦の振動によりネックが振動することがほぼ無く、ネックの共振によって弦振動が損なわれることがありません。おそらくサスティンはかなり伸びることになります。(当然ネックが極端に重くなり、音もギターらしく無いものになるでしょう。)
従来のアコースティックギターの魅力をそのままに、ネックをまるごと鉄製にすることは現実的ではありませんが「硬くて」「軽量な」補強を埋め込むことで、ネックを強めサスティンや音質面のメリットを上手に取り入れることが出来ます。
トラスロッドアジャストの両側にカーボンのサポートを埋めることで、ネックの質量を従来から大きく変えること無く、ネックが反りにくく、ねじれにくい、より強度を持ったものへ品質向上します。
百瀬恭夫製作のカスタムショップモデルをはじめ、安井雅人、降幡 新の製作するカスタムアコースティックギターでも随時取り入れられています。カスタムショップモデルを検討の際はぜひご参考の一つにして頂ければと思います。
↑カーボンを置いてみたところ。※実際に使用する際はネックのサイズに長さを揃えます。