毎年5月に長野県松本市のディバイザーショールームにて行われている業者様向けのイベント「商談会」。今年はコロナウイルスの流行による外出規制のため各地からお取引先様を招待することがかなわなず、『バーチャル商談会』と銘打ってオンライン上での開催となりました。当然実際に製品を手に取ってみて頂くことは出来ませんが、そのような条件下でも出来るだけ製品の魅力が伝わるようなコンテンツの制作に力を入れ取り組みました。
HEADWAYカスタムモデル全品の動画公開
幅広い価格レンジから構成されるHeadwayブランドの中で最も高いグレードである「Headawy カスタムシリーズ」では、各職人の拘りや新しい技術、やりたい事を詰め込んだ個性豊かなギターを製作しております。1本1本仕様や材が違うHeadwayカスタムのそのサウンドやキャラクターの違いをオンライン上でも出来る限りお伝えしいたいと考え、今回はレフティモデルを除いた商談会への出展モデル全品の動画を撮影致しました。
今回撮影した動画は商談会特設ウェブサイトのHeadway Customシリーズページ、もしくはディバイザー公式YouTubeチャンネルでご覧いただくことが可能です。モデル毎のサウンドの違いや品質の高さを知っていただくためには実際に楽器店で手に取って試奏して頂くことが一番ですが、動画を通じて少しでもトーンの特徴や雰囲気が伝われば本望です。
本記事では全34本となるHeadwayカスタムの展示品の中からピックアップした3本を紹介致します。
百瀬恭夫製作 HM-SAKURA CUSTOM #3179
1977年のHEADWAY創業時からのビルダーであり工場の最高技術顧問でもある百瀬恭夫が今回の為に制作した、桜材をサイドバックに用いた1本。ヘッドウェイでは初めて桜材を用いてギターを製作した2014年以来、マイナーチェンジを繰り返しながら桜材のギターを毎年発売しており、現在ではヘッドウェイの新しい定番と言っても差し支えないシリーズとなっています。百瀬はこれまでお客様からの要望を受けて桜材のギターを製作することはありましたが、自らデザインや仕様を決めて製作をしたのは実は本機が初めてです。
これまでヘッドウェイの桜モデルでは色鮮やかな紫色を持つパープルハートを指板やブリッジに合わせることが定石でしたが、本機では敢えてシックで上品な色を持つエキゾチックエボニーを選択しインレイの数も最小限に抑えることで落ち着いたデザインにまとめました。円熟という言葉の似あう百瀬らしい1本に仕上がっています。
HM-SAKURA CUSTOM #3179製品ページ
安井雅人製作 HD-115 Feather CTM #Y63
これまでに無かった技術やデザインを積極的に取り入れた「新しいヘッドウェイギター」を志向する職人、安井雅人の製作した1本です。極めてシンプルでオーソドックスなヘッドウェイのHD-115スタイルのデザインを持つ本機ですが、構造面では様々な新しい技術、試みが行われています。安井が本機の製作において念頭においたのは「楽器として使用するのに十分な丈夫さ、頑丈さを保ちながら、出来る限りの軽量化を施す」という一点。昨今軽量な楽器を求めるユーザーが増えている傾向にあり、そういった需要にこたえるための試みとして本機の製作に取り組みました。ボディの板の厚みや、ヘッドの厚み、ネックブロックやエンドブロックなどアコースティックギターを構成する各部材のそれぞれの構造やサイズを徹底的に見直し、出来る限りの軽量化を図っています。それに伴いネックにもこれまでのヘッドウェイの基準にはなかった「エクストラスリム」グリップを初採用し、比較的手の小さいプレイヤーにも運指がしやすい作りにもなっています。平均的なローズウッドサイドバックのギターと比較すると約200gの軽量化に成功し、まさにその名の通り羽のように軽やかな重量とサウンドを持つ一本です。ぜひ手にとってお試しください。
HD-115 Feather CTM 製品ページ
降幡新製作 HD-280 #F22
百瀬が培ってきたヘッドウェイのギター作りを継承しながらも、自身が考案した3Pクロスラウンドバックやコンターの設計など独自の意匠を盛り込んだギターを製作するカスタムショップビルダー降幡新の製作したモデルです。本機は百瀬が得意としてきたオーソドックスなHD-280スタイルをベースとしながらヘッドウェイの創業以来の「丈夫で長く弾いてもらえるギター」という理念を引き継ぎ、そして進化させていくという気概を持って製作された一本になります。
アディロンダックスプルーストップとマダガスカルローズウッドサイドバックの高級材で構成されたボディにヘッドウェイが近年積極的に採用しているARSブレーシングを合わせました。ARSブレーシングはブリッジ近くでクロスするブレーシングが表甲をタイトに引き締めることによって生まれる芯のある音が特徴ですが、本機ではブレーシングのスキャロップの量を微調整し音の角が取れた若干丸みのあるサウンドにボイシングしています。塗装方法としては1番最初に1度だけ薄く吹き付ける塗料以外は全てラッカーを使った、ヘッドウェイ式のオールラッカーを採用しました。弾きこめば弾きこむほど鳴りが育っていく、一生かけて大事にして頂きたい1本です。
HD-280 #F22 製品ページ
試奏動画演奏者の紹介
わたなべゆう
2006年アコースティックギターのフィンガースタイルのコンテストである「フィンガーピッキングデイ」にて最優秀賞を獲得。2010年の出会いからずっとメインギターとしてヘッドウェイを使用しています。2018年、自身が監修を務めたモデルHEADWAY HOC-KINGFISHERが発売されました。
わたなべゆうプロフィール
ヘッドウェイ職人 遠藤光翼
2007年の入社以来、塗装工程を主に担当する職人。工場で随一のソロギターの腕を持ち、完成したカスタムショップギターのサウンドを製作者本人以外では一早く確認し職人たちにフィードバックを伝える役目も担っています。
本記事で紹介したモデル以外にも個性にあふれるギターの数々を2020商談会においてバーチャル展示致しました。是非商談会特設サイトにてご覧ください。また今回の展示モデルの試奏をご希望の場合は楽器店において取り寄せが可能である場合もございます。お近くのヘッドウェイ製品取扱店様にお問い合わせください。
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